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子どもたちのサクセスストーリー

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リタリンの濫用

 

お断り:

 この記事の資料は、一般的な参考およびインフォメーションを目的として提供されたものであり、このまま医学的な診察や診断として利用されるべきものではなく、また、ヘルスケアを提供する人々の所見にとって代わるものでもありません。かかっている医師や、ヘルスケアの担当者に相談せずに、処方された薬剤の服用を中止したり、現在受けている治療を変更したりしないでください。あなた自身の状態や症状に関して、ここに書かれていることや、ここで薦めていることが適用できるかどうかについても、実際にそれをおこなう前に、あなたのヘルスケアの担当者に必ず相談しなければいけません。

 

 リタリンは現在広範に使用され、集中力不足や多動を伴う学習障害のための措置としてかなり定着しています。

 脳障害の治療法として定着しているものはたくさんありますが、それを安易に受け容れれば、不適切な濫用へとつながることは、私たち研究所のスタッフは実際に 経験してきました。根底にある病理的な作用そのものに直接働きかけることなく、こうした対症療法を用いることに対しては、あくまでも警戒の目を向けていかねばなりません。

 私は35年以上にわたって、健常および脳障害の子供たちと密に接して過ごしてきましたが、子供の親であれ医師であれ、薬剤の使用の決定は難しいものであることを、ひしひしと感じています。この年月の間、私は主として、抗けいれん剤、鎮静剤、およびその他の向精神薬を徐々に除去することにかかわってきました。

 この努力の大きな成功は、人間能力開発研究所の季刊誌「イン・リポート」(The IN-REPORT)「薬剤除去のヴィクトリー」として毎号発表されています。これだけの成功が収められたのは、栄養、呼吸、脳神経の発達などの分野における人体の生理に、細心の注意を払ってきた結果です。

 薬剤除去は、最大の注意を払いながら、非常にゆっくりと進められます。研究所側と両親との密接な連絡と、何らかの決定にあたっては双方の合意によることが、その不可欠な要素となっています。こうして私たちは、意識の明瞭度、学習能力、全体的な機能、および健康などの面で、子供たちが非常に大きなものを得るという喜びを経験してきたのです。

 こうした薬剤除去によって、子供たちの全体的な機能の向上が図れるということを繰り返し目のあたりに見てきた私たちは、これらの薬剤は子供たちにとってほんとうに必要なものだったのだろうか、と問いかけずにはいられません。

  どんな薬物であっても、それを使うか使わないかの決定は、医師と家族との間で分かち合うものであるべきです。そうした決定をする場合は、子供の両親にたいして、判断のために必要な情報が与えられなければ、公平な決定にはなりません。いかなる治療法であれ、その方法の利用について話し合う前向きの姿勢が医師の側にあることは不可欠であり、患者側から提供された情報の価値を正当に評価する医師も、昔からいないことはなかったのです。しかし、この健全な姿勢が失われていることがあまりにも多すぎます。

 もちろん命を救う薬剤はあります。健康を取り戻すために必要なものも、重大な病気を防ぐものも、たくさんあります。私は、あらゆる薬を非難するつもりは全くありません。近代医学の業績に背を向けることは、子供たちの幸せな人生に害を及ぼすことになります。しかし、望ましい効果を求めて使用される薬剤には、それと同じだけの有害な結果をもたらす可能性も存在しているのです。

 したがって決定にあたっては、疾病から生じる有害な結果と、薬剤の使用によって生じ得る問題とを秤にかけて選択することが重要となります。こうすれば両親は、情報に基づいて、自分の子供にとってよいと思われる道を選択することができるのです。

 神経化学は、神経系を対象とした、特に専門的な化学の分野です。それに対応するところにある神経薬剤の分野では、中枢神経系の機能に作用することを目的としたさらに多くの薬剤を開発する方向にあります。

 そうした薬剤のひとつであるリタリンは、主として学齢期の子供たちに使用されていますが、これは多くの議論の的となっています。医師用便覧(PDR)には、微細脳機能障害あるいは多動症候群とも呼ばれる注意力欠陥障害の症状の治療の一環として、リタリン(塩酸メチルフェニデート)の使用が明記されています。

 リタリンは、中枢神経系にたいする軽度の興奮薬で、脳幹と大脳の覚醒機能を活性化し、意識をよりはっきりさせようというもの です。どのように作用しているかはまだ解明されていません。この他のリタリンの使用対象として挙げられている唯一のものが、睡眠異常障害であるナルコレプ シー(睡眠発作)というのは興味深いところです。

 リタリンの服用量が多すぎると、中枢神経系に過度の刺激が加わります。不安感、緊張、興奮、チック症、トゥーレット症候群、緑内障の兆候がある場合は禁忌とされています。

 PDRはさらに、6歳以下の子供にはリタリンを投与すべきではないとしています。この薬剤の長期使用に関するデータや、妊娠中の使用に関するデータはまだありません。

 子供における副作用として、不眠、神経質、食欲減退、体重減少、腹痛、速脈などが挙げられます。そして、成長抑制、高血圧、視力障害、および発作を起こしやすくなること(発作の前歴のあるなしにかかわらず)などに気をつけるようにという警告が発せられています。

 情緒不安定な人が慢性的にこれを濫用すれば、精神的依存性を生じかねないので、投与に際しては細心の注意が求められます。この場合は、定期的に血液検査をおこなうことが望ましく、薬剤の使用も定期的に中断するようにすべきです。

 注意力欠陥障害を説明すれば、注意力散漫、集中力欠如、多動、非局所性(軟性)の脳神経的兆候、学習障害などを特徴とする行動症候群ということができます。 脳波に異常が見られることも、見られないこともあり、「中枢神経系の機能不全という診断の根拠となる場合もあれば、ならない場合もある」のです。さらに、治療法を検討するにあたっては、前以て患者の病歴を完全に調べ、それに加えて、臨床面、心理面、教育面、および社会面での評価が不可欠であるとされています。

 このような情報および、この薬剤やその他同類の神経薬理的薬剤の現在の誤用の状態からは、さまざまな問題が提起されます。

  人間能力開発研究所としての観点に立てば、前述のような症状には「中枢神経系の機能障害」という診断をだすのが確実なところだと言えましょう。その他にどんなことが考えられるというのでしょうか。学習と行動は中枢神経系の機能です。脳の機能不全が、環境からくる刺激物やアレルゲン、栄養不良、慢性病などの 外部的な要因を原因としているならば、最初に徹底的な検査をおこなうことによって原因をつきとめ、適切な治療を施すことができるはずです。

 内因性であれ外部的要因による二次的なものであれ、病因はともかくとして、最終的には脳の機能に不足が生じることになりますが、研究所の発達プロファイルを評価の道具として利用すれば、脳の障害を判別することができます。脳神経の異常の原因が何であれ、しかるべき効果的な療法は必ず存在するのです。

  リタリンがその答えであるかどうかを私たちは問いかけたいのです。その使用に関して、教育者、心理学者、医学関係者の多くに安易な姿勢が見られることを、 私たちは非常に残念に思っているのです。適切な評価をせずに、軽率に処方されていることが多いのです。また、自分の子供に最良の治療を望んでやまない両親たちに、権威筋の出した数字を見せて、不当な圧力をかける結果となっていることも多いのです。治療の恩恵は子供に向けらるべきであり、子供を治療するのは、平和と静寂を失った教室で過労で疲れている先生のためではないのです。

 禁忌や警告の要素を考えるとき、最終決定をすべき立場にある両親に目を向け、意見を分かち合わねばならないのに、そうであることはめったにありません。いったん処方がなされると、その後の監視態勢はお粗末なものであることが多いですし、何より忘れてならないのは、それによって治癒の方向を歩んでいるという錯覚を生み出してしまうことなのです。

 リタリンには、治療・治癒の力はありません。純然たる対症療法であり、それも非常に成功度が高いというものでもないのです。

 

人間能力開発研究所名誉医学部長

ロズリース・ウィルキンソン医師