人間能力開発研究所の「発達プロファイル」は、生まれてから6歳になるまでに子どもたちが通過していく脳の発達の重要な段階を図式化したものです。この発達プロファイルをつくった目的は、単なる機能の発達ではなく、子どもたちが身につけていく何千という機能を煮詰めていって、この機能があるからこそ次の段階の機能が生まれるという、重要な機能を凝縮して図式として表すことでした。その結果、脳障害児や健常児がもっている能力、あるいは不足している能力や、成長の度合いを測定するための、明確で、かつ信頼に足りる道具となりました。
過去においては、生まれてきた子どもの発達は、遺伝子の中に受け継がれて、あらかじめ運命づけられたものであり、いつ、どういうことが起きるかは、動かすことのできないスケジュールに組み込まれていて、変えることはできないと思われていました。
しかし、人間能力開発研究所のスタッフが1940年から現在に至るまでおこなってきたことを見れば、それが真実でないことがわかります。また、このような重要な段階が順を追って発生するのは、脳の発達にともなうものであり、脳のより高いレベルが役割を果たすようになるにつれてその段階に見合った機能が生まれるからであることもわかります。そうした機能が発生する時期は、人によってさまざまに異なりますが、その違いは遺伝的要素によるものではなく、子どもの脳がその環境から受ける刺激の頻度、強度、継続時間が大きくかかわっているのです。子どもにとってもっとも大切な環境は、子どもの家族であることがほとんどです。
人間能力開発研究所は、生まれてから6歳になるまでに、それぞれの子どもが、正常な発達段階を、正常な順序で、できる限り短期間でひとつひとつの段階の完成を目指しながら進んでいかれるようにすることを目標として、子どもたちを指導することを提唱しています。人間能力開発研究所の発達プロファイルに照らしてみれば、子どもの発達を測定することができるのです。
この表は、感覚系の機能の発達段階を示したものです。
脳の | 時間幅 | 視覚 | 聴覚 | 触覚 |
VII | 優 36カ月
| 完全に理解して読む | 完全な語彙と適切な文を理解する | 物に触れて識別する |
VI | 優 18カ月 平均 36カ月 遅 72カ月
| 経験の範囲内の文字や記号を識別する | 単語2000語と簡単な文を理解する | 触れることによって物体の特性がわかる |
V | 優 9カ月 平均 18カ月 遅 38カ月
| 同類だが同じではない簡単な記号を識別する | 単語10~25語と2語からなる文や句を理解する | 同類ではあるが同じでない物に触れて識別する |
IV | 優 6カ月 平均 12カ月 遅 24カ月
| 視覚の収束により簡単な奥行きを感知する | 聞いた言葉を2語理解する | 平面に見える物体に触れて、立体であることを理解する |
III | 優 3.5カ月 平均 7カ月 遅 14カ月
| 輪郭内の細部を認識する | 意味を伴う音声を認識する | 触覚認識を獲得する |
II | 優 1カ月 平均 2.5カ月 遅 5カ月
| 輪郭を感知する | 恐ろしい音に対して生存のための反応を示す | 生存のための触覚を感じる |
I | 優 誕生から0.5カ月
| 対光反射 | 驚がく反射 | バビンスキー反射 |
この表は、運動系の機能の発達段階を示したものです。
脳の | 時間幅 | 運動 | 言語 | 手の機能 |
VII | 優 36カ月
| 一貫して脳の優勢半球に対応する側の脚を器用に使う | 完全な語彙と適切な文構造を身につける | 一貫して脳の優勢半球に対応する側の手で書く |
VI | 優 18カ月
| 完全な交差パターンで歩き、走る | 単語2000語と短い文を話す | 片方の手に高度な機能をもたせながら、両手を使う |
V | 優 9カ月
| 主に腕でバランスをとらずに歩く | 単語10~25語と、2語から成る文や句を話す | 両手で同時に皮質協応(親指と人差指でつまむ動作)ができる |
IV | 優 6カ月
| 主に腕でバランスをとりながら歩く | 単語2語を自発的に、意味をもたせて使う | どちらかの手で皮質協応(親指と人差指でつまむ動作)ができる |
III | 優 3.5カ月
| 高ばい(手とひざではう) | 意味を伴う音声を発する | 手のひら全体で意図的にものをつかむ |
II | 優 1カ月
| 腹ばい(床におなかをつけてはう) 最終的に交差パターンになる | 危険に反応して泣き声を発する | 危険に反応して握った手を開く |
I | 優 誕生から0.5カ月
| 胴体はそのままで、手足だけを動かす | 産声と泣き声 | 把握反射 |