
質問:よいプログラムを楽しくおこなうには、全体的な枠組みが大切だということは知っています。でもどうやったらよりしっかりと体系的にプログラムを組むことできるのでしょうか。
答:十分ご存じとは思いますが、プログラムの作り方は、簡単にこうですとお答えできるものではないのです。お母さん、子供、家族はそれぞれ違います。目標も興味も目的も異なりますし、こうした要素は頻繁に入れ替わったり変化したりします。子供のために使える時間もそれぞれに違いますし、その他の要素も家族によってそれぞれ違います。ひとつの方法が誰にでもぴったりあてはまるということはないのです。それぞれの家族は自分たちの状況を注意深く観察して、そのなかでいちばんよいと思われる実行可能な計画を立てることが必要です。いくつかの案をさしあげましょう。
1.少なくとも1週間に1回は、プログラムの計画と全体的な構成、整理のための時間をとること。これから先をどうするかということと同時に、いままでどれだけやってきたかにも目を向けること。毎週、それぞれの子供のための主な目標をひとつと、小さな目標をいくつか設定すること。そのうえでその週の計画を作って、記録を整理すると同時に、その後の週で使う教材を用意して整理すること。
2.教材はつねに前以て十分に用意しておくこと。遅れてしまったらプログラムをいったん中止して、外に出掛けて教材を集めることにしましょう。こうすればもう引退させていてよいはずの教材を何度も繰り返して見せて済ませてしまうことが避けられます。
3.たくさんのことを散発的におこなうよりも、数少ないことをしっかりとおこなう方がずっと良いです。さまざまな分野のことをほんの少しだけ知っているよりも、ある能力がしっかりと確立されてそれを使うことができることの方が、子供にとっては得るものが大きいのです。
4.融通性を保っていること。計画したことがうまくいかなかったら、ためらわずに計画を変更して、もっとわくわくするような刺激のある面白いことに切り替えましょう。
5.子供がお母さんの手伝いができるように、家事や食事のしたくなどの方法や手順を教える時間を毎日つくりましょう。(いつの日か、お子さんがお母さんの代わりをしてくれるようになるでしょう。)
6.できるだけ家にいる時間を作りましょう。出かけなければならない用事がいくつかあるならば、できるだけ1日にまとめ、それを午前中ではなく1日の終わりのほうで片付けるようにします。
7.子供に教えているときは、電話の受話器を外すか、留守電状態にしておきましょう。
質問:3歳になる息子がいますが、数ヵ月するともう一人生まれる予定です。赤ちゃんがいるなかでどのようにしてプログラムを構成していったらよいでしょうか。
答:まず何よりも、お母さんが自分の体に気をつけることです。お母さんが健康で落ち着いた気持ちでいることはよいプログラムの土台ですから、これは最優先です。出産前の数週間や、赤ちゃんが生まれてからの数週間はいつもよりプログラムのペースが落ちたり、ときには通常のプログラムはまったくできないこともあるでしょう。
出産の直前、直後の数週間は、お兄ちゃんやお姉ちゃんがおおいに頼りになりますよ。家事の手伝いや、赤ちゃんの感覚刺激プログラムのお手伝いをしてもらうのもよいでしょう。また、赤ちゃんを床に置いて、家族も一緒に床ですごせば、赤ちゃんの腹ばいを励ますこともできますね。
お母さんや赤ちゃんの1日がだんだんと軌道にのってきたら、上のお子さんと一緒に過ごせる時間も増えるでしょう。計画を立て、準備をして、全体を整理し、1回に1種類ずつプログラムを復帰させましょう。赤ちゃんが生まれる前は、たくさんのことをやっていたかも知れませんが、再開するにあたっては、1回に1つずつ復帰させていくのがよいのです。こうすれば、赤ちゃんが生まれてからのこれまでと違った新しい1日の構成のなかに、以前にやっていたスケジュールを上手に組み込んでいくことができます。
知性面でも運動面でも、とにかく1種類だけ選んで始めれば、お母さんもリラックスして一番よいコンディションを保っていられます。その他のプログラムは、二人の子供のいる家庭であることを頭に入れて、あなたにとって一番よいペースで少しずつ加えていきます。
子供が二人いるということは、一人だけのときとは当然ながら状況は異なりますので、時間や進む方向とを新しい形で組み立てていく必要があるでしょう。あなた自身が最高のコンディションであるようにしてください。それはあなたにとっても子供にとってもうれしいことなのですから。
質問:私には4歳と2歳の二人の子供がいます。二人に別々に教えるべきでしょうか、それとも二人一緒に教えてよいのでしょうか。
答:二人の年齢が近い場合は、いくつかの方法を試してみて一番よいと思ったものを選ぶのがいいでしょう。その場合も、子供が大きくなるにつれて折々にやり方を見直してみることが必要です。
その方法のひとつは、子供それぞれの興味に応じて、二人に別々のカテゴリーを教えることです。そうすれば子供は、自分が一番好きなことについての情報を取り入れることができます。そのうちに、別の子供が学んでいる情報を見たり聞いたりして、家族全員がお互いのプログラムからも吸収していくことになるでしょう。
別々のプログラムで始めても、1年ほど経つうちにそれぞれの子供はお互いに相手のプログラムに喜んで参加するようになる、というのがほとんどの家族の実際の体験です。
もうひとつの方法は、時間の余裕を見つけて、年長の子供を中心に何かをするチャンスを作るというものです。子供の年齢が高くなればなるほど好みもはっきりしてきますし、好き嫌いもはっきりと伝えてくるようになります。さらに年長の子供は、小さい方の子供より学び取るスピードが遅いでしょう。ですから、小さい方の子供が何の苦労もなくあらゆるものごとをどんどん吸収しているときに、大きい方の子供にはもう少し時間をかけてあげる必要が出てくるでしょう。
一人っ子でないことの利点はたくさんあります。小さな方の子供は、お兄ちゃんやお姉ちゃんのやっていること見ているだけでも多くを学べます。つまり、お母さんとお父さんの他にも先生がいることになるのです。教えることは学ぶためのとてもよい方法ですから、お兄ちゃんやお姉ちゃんも、大いに得るものがあるのです。妹や弟に本を読んで聞かせたり、新しく習った曲をヴァイオリンで弾いて聞かせることができるというのは、年長の子供にとってすばらしく楽しいことなのです。
運動面では年齢の差は大きな意味をもってきますが、それぞれの子供に達成してほしいレベルを気をつけて設定すれば、年齢差があっても一緒に楽しくプログラムをすることができます。例えば、年上の子供がプールを縦に泳げるようになることに挑戦しているなら、小さいほうの子供はプールの幅を泳ぎ切る練習をする、というようなことです。こうすれば、それぞれが自分のレベルにあったところで成功を収められます。
一人に教えているとき、もう一人が邪魔をしにくることもあるかもしれません。こういうことを防ぐためには、家族としてのきまりをつくるといいですよ。邪魔をしないで一緒に見るか、まったく見ないかのどちらかを子供が選ぶというような決まりにして、どんな形ででも邪魔をしたり、気が散るようなことはしてはいけないという約束をします。
質問:私はあらゆることをやりたいし、できるだけすぐに始めたいのですが、自分で消化できないほどたくさん欲張るつもりはありませn。私の時間を最大限に活用できるようにするには、どうしたらよいでしょうか。
答: まず手初めには重要な分野をひとつだけ、例えば読むプログラムなどを選ぶことをお勧めします。全体の構成を整え、準備をし、教え始め、そのやり方で大丈夫と確信できるまで、その分野だけに集中していきます。いくつかのプログラムをやったりやらなかったりというよりは、ひとつだけに絞って一貫してやる方がずっとよいのです。
一日中子供と一緒にいるという状況にはないお母さんのなかには、1日数時間のなかに本格的なプログラムをぎっしり詰め込んでしまおうという方が見受けられます。それは無理なことですから、そんなことをしようと思わないでください。リラックスして、楽しく、喜びをもってプログラムをおこなうには、調子のよい時間を選び、調子の悪い時はプログラムはおこないません。時間に限りがある場合は、ひとつの分野だけに絞ることはなおさら重要なことですから、短い時間にあまりたくさん教えようとせずに、そのひとつだけをうまく進めるようにしましょう。
毎日の状況をよく見て、現実的に実行可能なスケジュールを作りましょう。
質問:1日のうちで、この時間がよいという時間がありますか?
答:はい。できるなら知性のプログラムの大半は午前中にできるようにスケジュールを作るのがよいでしょう。午前中なら赤ちゃんは疲れていませんし、お母さんにしても同じことですから、教えるには理想的な時間なのです。
質問:生理面のことで気をつけなければならないことがあったら教えてください。
答:子供が十分に睡眠をとっていること、そしてお母さんも十分に睡眠をとっていること。子供が昼寝をするときには、お母さんもできるだけ一緒に昼寝をしましょう。子供が摂取する水分の量に気をつけてください。たいていの子供は、本当に必要な分量の3~4倍の水分を摂っています。これは塩分や糖分の摂りすぎを原因としていることが多いのです。塩分や糖分を抑えると、水分を欲しがることが少なくなってきます。
質問:どのくらい速く進めてよいか、自分の子供が何が好きか、どう判断したらよいでしょうか。
答:何かを教えるとき、必ず子供の反応を観察してください。これは大切なポイントです。そうすれば子供がどのカテゴリーが好きか、退屈しているか、分かるようになります。子供が少々退屈しているなと思ったら、それはある教材を長いこと見せ過ぎている証拠です。
子供どのくらいよく見ているか、どのくらい興味をもっているかを観察すれば、何を一番楽しんでいて、どのくらい速く先へ進みたいかがわかります。あなたが教えているときの子供の顔には、その答えが全部書いてあるのです。ですから教えるときは、子供の顔をしっかり見ながら教えるようにしてください。注意して見ていれば、明日のプログラムは今日よりもさらにうまくいくでしょう。