» 記事

子どもたちのサクセスストーリー

それぞれの写真をクリックしてご覧いただけます。

Search

なぜ赤ちゃんに読みを教えるのか

 私はよく人から聞かれます。あなたはなぜ、お母さんが赤ちゃんに読みを教えるのはいいことだと思うのですか。「赤ちゃんに読みをどう教えるか」の著者としては、こういう質問をする人の気持ちがわかるような気がします。きちんとお答えしなければいけませんね。 

 お母さん(あるいはお父さん)が、自分の赤ちゃんに読みを教えることが素晴らしいという理由はたくさんあります。

1.家庭で2歳の子どもに読みを教えるのは、学校で6歳の子どもに教えるよりも簡単です。ずっと簡単です。

2.赤ちゃんは学ぶことが何よりも好きです。そして、ほかの誰よりも、親と一緒にいたいのです。親子で過ごす時間のなかでも、赤ちゃんに読みを教えるひと時ほど貴重で、喜びにあふれた時間はそうたくさんはないでしょう。

3.読むことはすべての学習と知識の土台です。1歳、2歳、3歳という年齢の子どもたちにお母さんが読むことを教えたならば、6歳、7歳、8歳になったときに、学校で読めないために苦労することはなくなるでしょう。学校でうまくやっていくことと読むことの間には、切っても切れない関係があります。読めないことと失敗とも、切っても切れない関係です。どの国でも、どの州でも、どの都市でも、町でも村でも、それは事実ですし、一人ひとりの子どもにとっては、それはなおさらの真実です。

4.読めるということは、赤ちゃんにとっても、子どもにとっても、大人にとっても素晴らしいことです。

5.赤ちゃんが読めることがなぜ素晴らしいのか、その理由のいちばん最後に挙げるからと言っても、重要度がいちばん低いわけではありません。それどころか、私がいちばん大切だと思っていることをお話ししましょう。

 親である私たちは、赤ちゃんの人生の最初からつきあっています。鼻水を拭いてやり、おしめを取り替えてやり、混雑した海岸で子どもが見えなくなったら、それがたとえ30秒だけであっても、1時間に感じられるほどの恐怖に襲われ、5歳の子どもが夜中の2時に高熱を出せば、まるで発熱の世界記録でも出たかのように取り乱し、心のなかで祈りを唱えながら病院へ駆け込みます。愛する子どもの小さな身体を抱きしめ、美しい小さな顔を見つめることのできる幸せのためならば、親はどんな代償だって喜んでさし出すのです。

 子どもが6歳になると、世間の習慣にしたがって、生まれた国の言語や外国の言葉で書かれたきらきらと輝く素晴らしいものを、子どもに紹介するときがきます。全ての知識と、この世の全ての美へと通じる神秘の扉が開け放たれるのです。そういうときに私たちは子どもを、教師と呼ばれる見知らぬ人の手に委ねるのです。どんな子どもよりすばらしいわが子が心から知りたがっていることや、本当に素敵なことを、その教師が知っていますようにと願いながら。

 愛すべき問題に耐えている私たちは、自分の赤ちゃんに読むことを教えるという素敵な楽しみを手にする権利があります。そして自分の肩の上に赤ちゃんを乗せて、こう言うことができるのです。「ほら、見てごらん。世界はこんなに素晴らしいもので満ちている。この世界は、私たちからきみへの贈り物だ」

 実は、子どもに読みを教えるのは遅すぎるというのが現状です。耳から音として入ってくる情報でも、書かれたものを見て目から入ってくる情報でも、ありのままの事実を、何の苦労もせずに取り入れることができる能力は、6歳になるころには消え始めるのです。例えば、6歳になるまでに何の言葉も聞いたことがないとしたらどうでしょう。教育の現場では現在すでに読みについての問題が存在していますが、それと同じくらい大きな問題が、もうひとつ発生することになるでしょう。そして「ジョニーはなぜ話せないのか」というような本が市場にあふれることでしょう。

 6歳の子どもに読みを教えるよりも、5歳の子どもに教えるほうが簡単です。5歳よりも4歳、4歳よりも3歳、3歳よりも2歳、2歳よりも1歳の子どもに教えるほうが簡単です。1歳にならない赤ちゃんに教えるのは、いちばん簡単です。

 何よりも素晴らしい真実があります。それは、書かれた言葉であれ、耳から聞く言葉であれ、赤ちゃんは、どんな大人も足元に及ばないほどの速さで、ありのままの事実を取り入れることができるということです。

 赤ちゃんは言語の天才です。そんなことはないと思うなら、赤ちゃんを相手にして外国語を身につける競争をしてみたらいいでしょう。アメリカで生まれて11目の赤ちゃんにとって、英語は外国語です。赤ちゃんは3歳になるまでに、その英語を、完全なアメリカ英語で、十分に役立つ言語として使いこなしています。11日前に初めて聞いた外国語について、この子どもと同じことができるかどうかやってみてはどうですか。

 赤ちゃんが話し言葉を身につけるためには、神経生理学的な面から見て3つの必要条件があります。赤ちゃんの聴覚の経路はまだ未熟ですから、言葉を理解して記憶するためには、大きな声で、はっきりと、繰り返して聞かせなければなりません。お母さんたちはみな、本能的にそのことを知っていて、赤ちゃんに大きな声で、はっきりと、何回も繰り返して語りかけます。その結果健常な赤ちゃんは、3歳までには、役に立つ言語として母国語を使えるようになっていきます。大きな声で、はっきりと、繰り返して聞かせるということは、赤ちゃんの脳の聴覚経路を物理的に成長させることでもあるのです。

 話し言葉を耳から聞いて理解することは、学校で教えてもらうことではありません。それは脳の機能です。書かれた言葉を見て理解することもそれと同じで、学校の勉強ではなく、脳の機能なのです。

 赤ちゃんは話し言葉を自然に覚えていくのに、なぜ読むことを自然に身につけていかないのでしょうか。

 文字が小さすぎるからです。

 赤ちゃんが言葉を読むためには、3つの必要条件があります。文字が大きいこと、はっきり書かれていること、繰り返して見る機会があることの3つです。赤ちゃんの視覚経路は未熟ですから、小さな文字ではよく見えません。言葉を大きな文字で書いて見せること自体が、脳の視覚経路を成長させ、成熟させていくのです。

 2歳の子どもをもつお母さんが、このことを確かめたいと思うなら、白い厚紙に、赤いマーカーペンで、15センチほどの大きな文字で「お母さん」と書いて、1日に6回ほど見せればいいのです。1時間に1回、1日に6回、楽しそうな元気な声で「これは《お母さん》」と言いながら見せればいいのです。

 でもテストをしてはいけません。ただ教えるだけです。そのうち赤ちゃんのほうから何か反応が返ってくることでしょう。何万人ものお母さんたちが、こうして赤ちゃんに読みを教えてきました。実に素晴らしいことではありませんか。

 

人間能力開発研究所創立者

グレン・ドーマン